コンプリート盤で胸やけ

the complete an evening with joe henderson

いつのまにか"テナータイタン''として巨匠になっていたジョーヘン。キッカケは新生ブルーノートヴィレッジバンガードにおけるライブ盤のように思う。
こちらも同じくピアノレストリオによる録音ながら、ベースはチャーリー・ヘイデン。いつもはゴムが伸びたようなチャーリー・ヘイデンのベースが、緊張感を湛えてジョーヘンのテナーと絡み合う。
コンプリート盤として発売されたこの作品、3曲約30分が追加され、総収録時間は1時間半近くになった。
演奏は素晴らしい。歌い上げたり叫んだりせず、ひたすら同じテンションでフレーズを綴っていくジョーヘンの特徴が存分に味わえる名盤だ。とはいえ、ピアノレスのテナートリオを1時間半聴くのは正直言って辛い。お腹いっぱいで胸やけしてしまった。

それでもこのコンプリート盤を入手する意味は大きい。なにしろジャケットが従来盤とは比べ物にならないくらいカッコいい。ダサすぎるマイルストーン時代以来、ジャケットデザインに恵まれなかったジョーヘン。これはすべてが最高で、コンプリートというよりもパーフェクトな代表作。