カーラ・ブレイの名曲を菊地雅章のピアノで

カーラ・ブレイに「Utviklingssang」という曲がある。ノルウェー語のようで、読みも意味もわからない。Google翻訳で調べると、「開発曲」という訳が出てきた。意味不明だが、どうやらダム建設による環境破壊への抗議を表明した曲らしい。

もの哀しい旋律が印象的なこの曲には、さまざまなヴァージョンがある。
もっとも新しいところでは、昨年発表された渋谷毅カーラ・ブレイ集に収録されていた。渋谷毅はオーケストラでも録音を残している。
カーラ自身の録音では、『Social Studies』とスティーヴ・スワロウとのデュオ『Duets』などがあるが、アンディ・シェパードのサックスが切ない『Trios』の演奏が印象深い。アルバム冒頭を飾ったこの一曲で『Trios』は名盤となった。
このほか、チャーリー・ヘイデンの没後リリースされたリベレーション・オーケストラの『TIME/LIFE』では、カーラのアレンジで物語性のある演奏を聴くことができる。

名曲だけに良い演奏ばかりだが、個人的には菊地雅章のピアノソロが忘れがたい。

富樫雅彦 菊地雅章 コンチェルト

テンポを落として深く沈み込んでいくようなピアノは美しすぎて恐ろしい。テーマを繰り返すだけなのに感情を揺さぶられ、聴くたびにさまざま想いが湧き上がる。
富樫雅彦菊地雅章のデュオ『Concerto』のなかで、なぜかこの曲だけが菊地のソロ。その理由はわからない。このあと菊地雅章は立て続けにソロアルバムをリリースしていく。この演奏がきっかけになったのではないかと勝手に想像している。