地元の味

飯田市の中心地にある満津田食堂。創業は明治20年というから135年を数える老舗だ。ここのエビ丼が美味しいという話を聞いて行ってみることにした。

店の入口の左右両側、さらには建物側面にもメニューケースがある。計3面。メニューの豊富さが重要な地域なのか、あるいは何か事情があってのことなのかわからない。メニューが増えるにつれてショーケースも増えてしまったとすれば、律義というほかない。
なかに並んでいる食品サンプルはかなり年季が入っている。食欲を減退させる効果こそあれ、メニューを見て入店する客がいるとは思えない。一見よそ者を寄せつけない雰囲気だ。

11時半の開店と同時に入店、エビフライが大好物のかみさんがエビ丼を、自分はエビヒレ丼を注文した。待つこと10分、まずエビ丼、ほどなくエビヒレ丼が登場した。


ボリュームたっぷり、ちょっと懐かしい甘めの味でとても美味しい。伊那谷名物ソースカツ丼に通じる味で、これが地元の味なんだと納得した。

県庁所在地を除く地方都市の商店街がシャッター通りになって久しい。郊外に大型ショッピングセンターが進出、ロードサイドにはチェーン店が立ち並ぶ。国道沿いは全国どこも同じような風景になってしまった。
飯田も例に漏れない。市内の繁華街はシャッター街になっていて人通りは少ない。商店街復活の兆しが見えないなかで、せめて満津田食堂のような店がいつまでもあり続けることを願う。