ジェフ・ベックの訃報をきいて

john mclaughlin the promise

ジェフ・ベックが亡くなった。一定の年代層にとって、このニュースは大きな衝撃だと思う。若々しかったロックヒーローが老いて世を去って行くという現実を受け入れるには多少猶予が要る。

『ギター殺人者の凱旋』という物騒かつセンスの悪い邦題のアルバムを初めて聴いたときには、歌がないロックに驚いた。あまり熱心なファンではなかったが、『WIRED』は青白いジャケットもカッコ良くて好きだったし、いかにもロックな見た目もあって憧れのギターヒーローだった。

"三大ギタリスト"のなかではいちばんジャズに近い位置にいたジェフ・ベックジョン・マクラフリンの集大成的なこのアルバムでは、冒頭の「Django」でマクラフリンと共演。『WIRED』では「Goodbye Pork Pie Hat」が印象的だったが、ここでもジェフ・ベックらしい演奏に惹きつけられる。訃報を耳にした後では、まるで本人によるレクイエムのように響く。

久しぶりに取り出して聴いたこのアルバム、良く言えばマクラフリンのキャリア集大成的作品、要はとっ散らかった内容だが、聴きどころ満載。
何を演ってもカッコいいマクラフリンのギターを軸に、ジェフ・ベックら豪華ゲストが花を添える。なかでもマイケル・ブレッカーデニス・チェンバースが暴れまくる「jazz jungle」には痺れる。

聴いているうちに、もっとマクラフリンを聴きたくなった。ところがマハビシュヌをはじめほとんど処分してしまい、手元に残っているのは、これと『Electric Guitarist』だけ。ちょっと後悔。でも、めったに聴かないもんなぁ。