ワンアンドオンリー

竹内直 Rapture
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クリフ・ジョーダンの『In The World』を苦労して入手し、がっかりした人は少なくないと思う。1曲目の「VIENNA」のテーマの哀愁と締まりなくダラダラ続くソロをどう評価するか次第だが、自分は受け付けなかった。一度針を落としただけで、その後聴いていない。なぜこの曲が「ウィーン」なのか、どうも納得がいかない。
その「VIENNA」を収録しているのが竹内直の2007年作『Rapture』。この曲を再演したのは、もしかしたら世界中で竹内直だけなのではないだろうか。オリジナルの混沌とした世界から曲を救い出し、素晴らしい演奏に仕上げたことに拍手を贈りたい。

隠れた名曲を取り上げる竹内直の選曲センスは「VIENNA」に限らない。ジョージ・コールマンの「Amsterdam After Dark」やセルジオ・メンデスの「So Many Stars」といった隠れた名曲を取り上げては竹内色に染め上げる。ひしゃげた音で繰り出すアドリブはハードボイルドかつ日本的でウエット。ワンアンドオンリーのミュージシャンだと思う。