ボブ・クーパーの中庸さ

Bob Cooper Tenor Sax Jazz Impressions
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エストコーストジャズは好きではない。自分の場合、その原因はラス・フリーマンにある。チェット・ベイカーアート・ペッパーのアルバムでの、どうにも軽々しいノリが苦手で、ウエストコーストジャズ全般が嫌いになってしまった。

そのウエストコーストを代表するテナーといえばボブ・クーパーの名前が上がる。
誰のアルバムか記憶がないのだけれど、サイドでボブ・クーパーがテナーを吹いていて、いい音だなぁと思ったことを覚えている。

1979年発表のこの作品は、たまたま中古で見つけて入手したもの。ボブ・クーパーは個性的とは言えないし、それほど魅力的なミュージシャンでもない。ただ腕は確かだし、クセのないフレージングとテナーの音には中庸を行く良さがある。ここでもどうってことのない演奏が続くが、テナーの音と安定感のある演奏が心地良く、不思議と心に平穏をもたらしてくれる。

エストコーストジャズもこの時代になるとアレンジ過多でもタテノリでもなく、腕利きのスタジオミュージシャンによる端正な演奏が主流。そういう意味でもボブ・クーパーはウエストコーストを代表するテナー奏者ということができそうだ。

それにしても、誰のアルバムでボブ・クーパーを聴きその音に聴き惚れたのか思い出せない。バド・シャンクのような気もするが、きっと処分してしまったのだろう。
年齢とともにジャズの見方も変わる。そろそろウエストコーストジャズに再挑戦してみようかな。