芸能としてのジャズ

芸能は芸術よりも一段低いものというニュアンスがあるけれど、もともとはパフォーマンスによる芸術行為を意味するとのこと。ならばジャズをはじめとして、音楽はすべて芸能といったほうが、より本質的に思えてくる。

ローランド・カークの音楽ほど芸能という言葉がしっくりくるものはない。肩肘張って真剣に聴くものではなく、バックグラウンドミュージックとして流すようなものでもない。ローランド・カークを聴くときには、カークと一緒に演奏を楽しむ距離感が必要だ。

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ライブこそ、カークの真骨頂。ポップすぎるきらいがある『Volunteered Slavery』よりも、こちらのほうがバランスが良くて好きだ。玉手箱から次々と飛び出すポップでブルーなメロディ。カークはメロディメーカーとしてもっと評価されていい。
四谷いーぐるの後藤さんが推薦盤として取り上げたことがきっかけで、ずいぶん前に一度CD発売されたが、中古でもほとんど見かけない。もう少し丁寧に音源を編集して再発してくれると嬉しいのだが無理だろうなぁ。

ローランド・カークはジャズから大衆芸能的な要素が消えてしまい、スノッブなインテリの音楽になってしまったことを無念に思っていることだろう。ミンガスは怒っていそうだなぁ。