ディズニーランドと戦後日本

書店で白井聡の新刊が平積みされていた。

f:id:milesmode:20210417231004j:plain

白井は昨年、発言が炎上して謝罪に追い込まれた。松任谷由実がラジオで、安倍晋三首相の辞意表明会見を見て「テレビでちょうど見ていて泣いちゃった。切なくて」とコメントしたことに対して、フェイスブックで「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」と書き込んでしまったのだ。
行き過ぎた発言とはいえ、暴言というほどのものでもない。それが謝罪にまで追い込まれたのは、松任谷由実が神聖化していることを利用した橋下徹のアジテートにマスコミが乗った結果だ。

松任谷由実に対しては、ずっと違和感を感じてきた。空疎で虚構のユーミンワールドはディズニーランドと相通じるものがある。嫌いなどと言おうものなら、蛇蝎のごとく嫌われそうな勢いで、一種の同調圧力となっている。
その松任谷由実の発言だけに、違和感はまったくなかった。むしろ松任谷と安倍晋三は空疎な虚構に住む同類なのではないかと感じた。
調べてみたら、この二人は同じ1954年生まれ。ちなみに一つ上の1953年生まれに山下達郎がいる。

世代論は無意味だという意見があるが、人はある時代の中で生きているわけで、同じ時代に同じ世代だった人は、同じものの影響を受けて育っている。世代ごとに共通点があるのは当然であって決して無意味ではない。これらの人々がどこかアメリカンな空疎さを帯びているのは偶然ではないだろう。それは戦後日本の自画像なのだ。