9月15日はビル・エヴァンスの命日。亡くなったのが1980年だから、今年で没後40年ということになる。
51年というエヴァンスの短い生涯を見たとき、わずかな残り火もなく燃え尽きたように感じる。晩年は年齢以上に年老いて見え、予期された死という印象すらある。スイングジャーナル』のエヴァンス追悼号では、医師が入院を勧めてもエヴァンスは応じなかったと評論家のコンラッド・シルバートが書いており、緩慢な自殺という見方もできなくはない。
この寄稿の中でエヴァンスがコンラッド・シルバートに語った言葉が紹介されている。
「音楽は総じて浪漫的だと思うけれども、それが、ただ感傷的になったら、ロマンティシズムは傷ついてしまう。一方で、規則のあるロマンティシズムは、美の中で最も美しい美なんだ」
「規則のあるロマンティシズム」──エヴァンスが追求してきたものは、この言葉で言い表せるのかもしれない。
晩年のスピード感のある演奏からは、規則が失われてロマンティシズムが傷つきそうになるのを、懸命に押しとどめようとしているエヴァンスの姿が浮かんでくる。
Bil Evans Paris Concert Edition two