ジョルジュ・ロベールのB級名盤

ジョルジュ・ロベールの代表作は、ケニー・バロンとのデュオ作ということになるのだろうか。あれは良いアルバムではあるけれど、スタン・ゲッツの代表作を『People Time』とするようなもので、いかんせん居心地の悪さが残る。
フィル・ウッズとの共演作はいまいちだし、いくつかのカルテット作も同様。幻の名盤扱いされていたトム・ハレルとの『Lonly Eyes』は中古ショップに溢れている。個人的には遺作となった『plays Michel Legrand』を推したいが、ストリングスものが代表作というわけにもいくまい。
いちばんよく聴くという点ではクラーク・テリーを迎えたクインテット作品だ。

George Robert Quartet Featuring Clark Terry - Live At Cuvaison, California

1991年の録音だから、クラーク・テリー71歳、ジョルジュ・ロベール31歳。親子以上に歳の離れたフロントを名手ダド・モロ二が堅実にバッキング。リラックスしたセッションながら、どこを切り取っても味わいある演奏が繰り広げられている。クラーク・テリーのMCで締めるライブ感もたまらない。

クラーク・テリーは天寿を全うし2015年に94歳で亡くなった。ジョルジュ・ロベールはその翌年に55歳で逝ってしまった。きっと天国でハッピーなセッションをしているに違いない、2人の相性の良さは、そんなふうに思わせる。
とはいえ代表作というには物足りない。これぞB級名盤というにふさわしい。