ウィリアム・クラクストンがNYにいたら

Gil Evans Out Of The Cool

ギルといえば、マイルスの『スケッチオブスペイン』のイメージが強い。あれは何度聴いても苦手で、マイルスの中では唯一といってよいほど嫌いな作品だ。あれのせいでギルの印象か悪くなって、食わず嫌いになっている人が多いのではないかと勝手に疑っている。
もう一つ、ギルを食わず嫌いにさせる要素がジャケット。
『Out Of The Cool』『In To The Hot』『The
Individualism Of Gil Evans』という名作群はどうにもジャケットデザインが良くない。とりわけ聴く気を失せさせるのが『Out Of The Cool』。ドラキュラ博士がなにやら企んでにんまり振り返っているようで、気持ちが悪い。
ところが、Amazonを泳いでいるうち、この作品が全く違うジャケットで発売されていることに気づいた。それがこのリラックスしたギルの写真のもの。撮影はウィリアム・クラクストン。作品の内容と合っているかといえば、うーむと呻るしかないが、この違いは大きい。さっそく入手。これなら聴く機会も増えそうだ。
ウィリアム・クラクストンがニューヨークに住んでいたら、きっと素敵なイメージを切り取って届けてくれたに違いない。プレスティッジあたりのジャケット写真でも担当してたら、最高だっただろうなぁ。

p.s.あらためて中山康樹の『マイルスを聴け‼︎』の『スケッチオブスペイン』評を読んだら、アランフェスじゃなく、後半が素晴らしいとのこと。あーそうか、アランフェスで嫌になってはいけなかったんだと、目から鱗が落ちた。反省。