ジェレミー・ペルトを聴きながら

Jeremy Pelt The Art Of Intimacy Vol.1

ジャズは個性を聴く音楽。演奏技術が高くても、ジャズの場合、それが個性を存分に発揮することにつながらなければ、あまり意味がない。
ジェレミー・ペルトは際立った個性があるプレーヤーではない、と思う。とりわけ美しい音でもない。たくさんアルバムを出しているけれど、ひねりを利かせたものが多く、どうもつかみどころがない。
そう思っていたら、新作はドラムレストリオでのバラード集。ゆったりと丁寧にメロディを紡いでいく。

ジョージ・ケイブルスのピアノがいい。アート・ペッパーのパートナーをつとめていた頃を思い出させる。こちらも個性的というよりは流麗なピアノ。この組み合わせは相性がいい。

クセのない演奏は飽きがこない。曲も新鮮。いまどき珍しく録音時間も短めで、なんとも淡白。こたつに入って寝転びながら本を読むにはぴったり。

こういうアルバムは意外とない。名盤ではないけれど愛聴盤になりそうだ。