高知と愛媛の旅


今回の四国旅行は盛りだくさん過ぎて、最後はバテ気味に。以下、記録。

2/8「野良時計」に惹かれて安芸を訪ねる。旧地主さんの個人宅で、明治の中頃、自分で組み立てたらしい。時代を先取りしたハイカラ趣味のご主人だったのだろう。建物全体が調和がとれていて美しい。こぢんまりした旧城下町に時がゆっくり流れている。時計は10時10分を指したままだ。
三菱の創始者岩崎彌太郎の生家を訪ねた後、高知へ移動。夕食はひろめ市場で。

ビニールの扉を押し広げて中に入ると人でいっぱい。お店から好きなものを買ってきてフードコートで呑むスタイル。市場で食べれるのは珍しくないが、市場風酒場というのは珍しい。
どうやらナンパスポットでもあるらしい。若い人が多く、相席をお願いしながらナンパしている。古今東西、男女の出会いの場は活気がある。日本再生のカギはこの辺りにあるのかもしれない。
なんとか席を確保して、カツオのタタキの藁焼き、クジラの刺身、うまきで、酔鯨をいただく。かみさんがごきげんでなによりなにより。
2/9高知城へ。「南海の名城」と称されるようだが予想以上の名城だった。天守閣で外に出てぐるっと回れるのは珍しい。城下に山内一豊、城の入り口には板垣退助、三の丸に一豊の妻銅像が続く。どうやら高知は銅像好きらしい。
高知城を後にして四万十川沈下橋をみながら宇和島へ。昼食は窪川ちゃんぽん。


宇和島に着き、鯛めしを食する。炊き込みではなく、生卵をといた出汁に生の鯛を入れて、ご飯にかけるのが宇和島風鯛めし。出汁は少し塩っぱいが贅沢だ。
2/10早起きして、まずは遊子水荷浦の段畑を見にいく。棚田好きのかみさん大興奮の見事な風景。

段々畑はとても狭く危険だ。男たちが漁に出ている間、農作業をして生活の足しにしたのだろう。

おばあちゃんとしばし話し込む。畑の手入れ、畑の上にあるお墓の掃除、神社の庭掃除。日課をこなし、きちんと生きている。なんだかホッとする。
宇和島市内に戻り宇和島城に登る。これで現存12天守を制覇。今回の旅はこれが目的でもあった。
宇和島を後にして松山へ向かう。途中、三間町の道の駅にある畦地梅太郎記念館に立ち寄る。出身地に建てられたこの施設は、小さいけれどとてもいい美術館だ。井関農機の創業者の記念館も一体になっている。これは新しいかたちの道の駅。少しでも集客につながればよいと思う。
松山へ向かう途中にもう一か所、大洲にある臥龍山荘を観る。貿易商が長い年月をかけて建設したもので、近年、重要文化財に指定されたらしい。素晴らしいロケーションに茅葺きの山荘が佇み、日本的な侘び寂びの世界をつくりだしている。明治の建築だというが、その美しさは出色。

f:id:milesmode:20200212080753j:image

内子や砥部にも寄ろうと思っていたけど、もうお腹いっぱい状態。まっすぐ道後の宿に入る。
道後温泉は2度目だが、泊まるのは初めて。かみさんがプレゼントしてくれた。感謝。
2/11 愛媛県美術館で畦地梅太郎展をやっているというので見にいく。すっかり畦地梅太郎ツアーになってしまったようだ。没後20年の展覧会は充実している。年代を追って作風は変化し、抽象度は高くシンプルになっていく。畦地さんの意外な面を知ることができた。さまざまな本の仕事も楽しい。個人的に蔵書票は小宇宙のようで大好きだ。芹沢銈介の作品と共通するものを感じた。田舎者は自然と民藝になるのかもしれない。いい旅だった。あらためて、かみさんに感謝する。
f:id:milesmode:20200212082843j:image